TAM、SAM、SOMとは?分かりやすい具体例と共に解説します。
カテゴリ:マーケ用語
TAM、SAM、SOMについて、分かりやすい具体例と共に解説します。
- TAM、SAM、SOMがどういう意味か知りたい。
- TAM、SAM、SOMってたまに耳にするけど、どういう時に使うか分からない。
- TAM、SAM、SOMって覚えておいたほうがいいの?
上記のお悩みをお持ちの方、あるいはこれから新規事業の立ち上げ時に必要なことでお悩みの方は、この記事は必見です。
記事を読むことで、新規事業立ち上げ時の具体的に行うべきことが明確になります。事業規模に関わらず、誰でも知っておくべき内容となっておりますのでぜひ最後までご覧ください。
*TAM、SAM、SOMとは?スタートアップのCEOが動画で解説 *
弊社inglowの代表である小里が、起業や事業推進の経験を踏まえ、直接解説しています。テキストではなく動画でリアルな情報をお求めの方は下記リンクから動画をご覧頂ければと思います。
TAM、SAM、SOMってどんな時に使われるのか
後に詳しく解説しますが、TAM、SAM、SOMは市場規模を表す指標です。
市場規模の概略を把握したい場合には、下記リンク「市場規模マップ」を活用するのも有効な方法です。各業界の市場規模が面積で示され、成長率対前年比が色分けされているため、市場規模を客観的に掴むのに役立ちます。
TAM、SAM、SOMは主に下記2点のような状況において使われます。
- 新規事業を立ち上げる際に市場を把握したい時。
- 投資家がある事業に投資しようか検討する時。
それぞれ、詳しく解説していきます。
新規事業を立ち上げる際に市場を把握したい時
新規事業を立ち上げたい時、これらの指標について考えることで、以下が明確になります。
- 自社が参入しようとしている市場がどれくらいの規模を持つのか
- この事業によってどれくらいの利益を見込めるのか、目指せるのか
逆に、これらの指標について考えることを怠れば、
見込み利益を誤って計算してしまい、資金調達に失敗してしまったり、その事業自体、失敗する可能性も高まってしまいます。
新規事業を立ち上げる際や、商品・サービスの設計をする際には、3C分析などといったフレームワークは必要不可欠です。
新規事業の立ち上げの際にどういった手順で事業を組み立てていけば良いのかについて知りたいという方は、下記記事を参考にして下さい。
それらを確実に細かい箇所まで知ることが出来る方法を解説しています。
投資家がある事業に投資しようか検討する時
TAM、SAM、SOMは、投資家が事業、あるいは企業に投資をする際に非常に便利な指標となります。
理由としては、これらの指標を考えることによって、経営者と投資家間での市場規模についてのズレが生じにくくなったり、見込み利益がいくらくらいになるのかを共有することで、お互いの事業に対する認識がズレてしまうことを防ぎやすくなるからです。
これらの理由から、TAM、SAM、SOMは「便利」というよりはむしろ「必須」ともいえる指標かもしれません。
TAM、SAM、SOMそれぞれの意味について
TAM(タム)とは?
TAMとは、「Total Addressable Market」の略で、ある市場の中で獲得できる可能性のある最大の市場規模、つまり商品・サービスの総需要のことを言います。
プロダクトの直接的な競合の総需要のみでなく、同じニーズを満たす代替品となるようなサービスの市場規模も考慮する必要があります。
具体例として、日本国内におけるオンライン英会話スクールについての事例で考えてみると、正解が一つに絞られるわけではありませんが、一例としてTAMを国内における英会話スクール全体の市場規模と定義することが出来るでしょう。
TAMが一つに絞られるわけではないと言いましたが、TAMとして設定した市場規模が多きいほど事業の拡大余地があるということになりますが、大きくなるほど良いというわけではありません。
非現実的な規模で市場を選んでしまうと、大手が既に参入していたりしてレッドオーシャンな市場を選んでしまうこともよくあるので、自社が参入できる規模かどうかということも考慮して設定する必要があります。
SAM(サム)とは?
SAMとは、「Serviceable Available Market」の略で、TAMの中でターゲティングした部分の需要のことを言います。
つまり、顧客セグメントの需要を示す指標です。
先ほど挙げた、オンライン英会話についての事例で考えてみると、TAMとして設定した英会話スクール全体の市場規模のうち、オンライン英会話スクール全体の市場規模をSAMとして設定することが一例としてあります。
TAMではターゲットになりうる層全体を設定しましたが、実際にはある特定の商品・サービス単体で市場全体を確保することは難しいです。
そのようなことから、TAMで設定した市場規模の中で、SAMでは、自社商品・サービスの特徴や設定したターゲットを考慮したうえで、実際にアプローチできる市場規模を選ぶことが大切になってきます。
SOM(ソム)とは?
SOMとは「Serviceable Obtainable Market」の略で、実際に商品・サービスをもって市場に参入した時に、実際にアプローチして獲得できるであろう市場規模のことを言います。
言い換えれば、その商品・サービスによる売り上げ目標とも言えます。
これまでと同様に、オンライン英会話スクールについて考えてみると、SOMは、同じ自社のオンライン英会話スクールで集客できそうな市場規模のことを言います。
詳しく解説してみます。
TAM、SAM、SOMの関係性
先程の例をもとに、オンライン英会話スクールという市場で考えてみます。
オンライン英会話スクールという市場規模の中でも、特にオンライン英会話市場の場合は競合が数多く存在しますよね。
SAMとして設定した市場規模の中で、競合や代替手段などを除いた、自社がアプローチすることで獲得できそうな市場規模をSOMとして設定します。
TAM、SAM、SOMを包含関係で上図のように捉えると分かりやすいかと思います。
TAM、SAM、SOMの算出方法
TAM、SAM、SOMの算出方法には、大きく分けて2種類あります。マクロな視点から考える「トップダウン分析」、ミクロな視点から考える「ボトムアップ分析」があります。それぞれ解説していきます。
トップダウン分析
トップダウン分析とは、マクロな視点から考える分析方法で、市場全体の中からターゲットとしない市場を除いていく方法です。
主にTAMを計算する際によく使われますが、公表されている市場データなどから獲得したい割合を計算していきます。
ボトムアップ分析
ボトムアップ分析とは、ミクロな視点から考える分析方法で、商品・サービスの需要の大きさを一人一人の顧客データから計算する方法です。
主にSAM、SOMを計算する際によく使われますが、トップダウン分析とは違い、顧客に対してアンケート調査を行って実際の顧客になりそうな人のニーズを分析することで、それによって得た値から計算していきます。
TAM、SAM、SOMを算出するうえで気をつけるポイント
トップダウン分析
トップダウン分析によってTAM、SAM、SOMを算出する際に気をつけるべきポイントとして下記2点が挙げられます。
- 使用するデータ・情報が新しいかどうか
- 調査方法と自分の認識にズレがないか
それぞれ解説していきます。
使用するデータ・情報が新しいかどうか
先程、トップダウン分析を行う際に公表されている市場データなどを用いると言いましたが、 そのデータが10年前に行われた調査結果であったりすると、 実用的なデータとして用いることが難しくなってきます。
このようなことから、比較的新しいデータを用いることをオススメします。
調査方法と自分の認識にズレがないか
調査を行った会社などによって、その調査のカテゴリーごとの分類の仕方が一般的でなかったり、言葉のニュアンスに微妙にズレが生じてしまったりすることがあるので、調査方法などをしっかり踏まえた上でそのデータを用いる必要があります。
ボトムアップ分析
ボトムアップ分析によってTAM、SAM、SOMを算出する際に気をつけるべきポイントとして下記2点が挙げられます。
- 質問内容が曖昧になっていないか
- アンケート調査を実施する規模が大きすぎることはないか
それぞれ解説していきます。
質問内容が曖昧になっていないか
例えば、「最近〇〇に興味はありますか?」という質問のように、人によって解釈方法が異なってしまう恐れのある質問をしてしまうと、正確なデータを収集することが出来ません。誰が読んでも同じ解釈が出来るような質問方法を心掛ける必要があります。
アンケート調査を実施する規模が大きすぎることはないか
いきなり大規模な調査を行ってしまうと、仮に質問内容に偏りがあったり、本来聞きたい質問を取り入れ忘れてしまったりする場合があります。
そういった場合は、再びアンケートに答えてもらう人を集めるのが難しくなってしまう恐れがあるので、実施する対象の属性をある程度決めてから行うなどをして、大人数に一気にアンケートを実施する際は注意が必要です。
以下にまとめました。
トップダウン分析 | ボトムアップ分析 | |
---|---|---|
算出方法 | マクロな視点から考える分析方法で、市場全体のからターゲットとしない市場を除いていく方法 |
ミクロな視点から考える分析方法で、商品・サービスの需要の大きさを一人一人の顧客データから計算する方法 |
注意点 | ➀使用するデータ・情報が新しいかどうか ②調査方法と自分の認識にズレがないか |
①質問内容が曖昧になっていないか ②アンケート調査を実施する規模が大きすぎることはないか |
両方の手法を用いて偏りを防ぎましょう
このように、それぞれの分析方法の違いから、分析方法によって値が大きくズレることが多々あります。
ボトムアップ分析の数値に極端な偏りがないか確認するためにトップダウン分析を用いるなど、それぞれの特徴をふまえた上で双方の分析方法をバランス良く使うことが、TAM、SAM、SOMを使いこなすための肝となります。
TAM、SAM、SOMの具体例
企業では実際にTAM、SAM、SOMの指標をどのように扱っているのでしょうか。ここで、株式会社ラクスの活用例を見ていきましょう。
株式会社ラクスは、交通費・経費精算システム「楽楽精算」や勤怠管理システム「楽楽勤怠」など、企業の業務効率化を支援するSaaS企業です。多くのSaaS企業のなかでも高い時価総額を誇ります。同社のIR情報ではTAM、SAM、SOMから計算できる指標が紹介されており、同社のクラウド経費精算システムのターゲット市場について、2022年3月期決算説明資料で以下のように示されています。
まとめ
突然ですが、ここでクイズです!
ヒント:「その商品・サービスによる売り上げ目標」です!
皆さんすぐ分かりましたか?
- TAM、SAM、SOMそれぞれの違いを知ること。
- TAM、SAM、SOMは分析方法によって値が変わってくること。
- TAM、SAM、SOMを間違って覚えると、事業失敗にもつながること。
上記3点を特に気を付けていただき、使いこなしていただけますと幸いです。
以上、TAM、SAM、SOMについて解説してきました。
弊社inglowでは、これから広告の運用を考えている方、あるいはこれから広告代理店に運用をお願いされる方向けに、「業界別Web広告の成功事例」をまとめた資料を無料配布しております。
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山路 天音
inglow マーケティングチーム所属。大学卒業後、Web広告専門会社に入社し、Web広告運用・販促計画など、マーケティングとセールス業務に携わる。その後、より幅広いデジタルマーケティングのキャリアを求めてinglowに参画。Google広告やFacebook広告、Instagram広告運用に精通し、機械学習アルゴリズムの活用とユーザー視点の施策提案の両輪でクライアントが求める成果に対しひたむきに向き合う。