カスタマーサクセスとは?カスタマーサポートとの違いや事例を大解説
カテゴリ:マーケティングオートメーション
本記事は、下記のような悩みを持たれた方に向けて書いております。
- カスタマーサクセスは聞いたことがあるけどよく分からない
- カスタマーサポートとカスタマーサクセスの違いは?
- 何に気をつけて始めたらいいの?
今回の記事ではカスタマーサポートとの違いといった基本情報から、必要なスキルまでを分かりやすく解説しています。
是非最後までご覧ください。
カスタマーサクセスとは
「カスタマーサクセス」とは何でしょうか?
カスタマーサクセスとは、「顧客の成功を達成する」ことで「自社の利益を得る」という考え方や、組織、戦略、活動を指します。
顧客が「成功」している状態とは、顧客が商品やサービスを利用することで、期待した成果を得られたり、達成したい目的を達成できた状態を指します。
カスタマーサクセスでは、顧客が「成功」できるように、顧客の課題を先回りして解決したり、顧客の要望をもとにサービスを改善したりします。
カスタマーサクセスには、以下の2つの意味合いがあります。
- 企業経営における“価値観”、戦略的な重点方針・テーマ
- 企業の取組や役割・職種
企業経営における“価値観”、戦略的な重点方針・テーマ
昔から日本企業の多くで「顧客第一主義」などの理念や経営方針が掲げられますがこちらとほぼ同じ意味です。
ただし、顧客第一主義という号令だけで、実際は形骸化したケースも多かったようです。
しかし現在は、「顧客第一主義」が「カスタマーサクセス」というコンセプトに代わり、その重要性が高まっています。
企業の取組や役割・職種
名刺交換をした際に「カスタマーサクセスマネージャー」「カスタマーサクセス部」といった役職・肩書を目にすることが増えました。
では、彼らは具体的にどのような役割、業務を担うのでしょうか?
企業は、何かしらの製品やサービスを顧客に提供することで収益を上げており、一方で顧客は、実現したいこと(ジョブ)があって、さまざまな製品やサービスを選び、購入し、利用しています。
カスタマーサクセス担当者は、購入・契約後の顧客に、さまざまな方法で働きかけ、より積極的に関与します。これにより顧客が自社の製品、サービスを使って、顧客が実現したいことを支援する役割を担います。
これまでは、製品を販売した後、“何かあればいつでもご相談ください”という受け身のサポートはありましたが、そこから一歩進んで、自発的に顧客の課題解決や片付けるべき仕事(ジョブの達成)に貢献するということです。
市場の消費活動が「所有」から「利用」へと移り変わり、利用者は高価な「モノ」を購入することなく、必要なときに必要なだけ「サービスを選択できる【サブスクリプション】の時代になりました。
出典:株式会社矢野経済研究所「サブスクリプションサービス国内市場規模(7市場計)推移・予測
選択肢が無数にあり、同類のサービスの中から好きなものをチョイスできる環境下において、利用者に「成し遂げたいことが達成できない」と判断された瞬間に、サービスは簡単に解約されてしまいます。
そのためサービス提供者は、利用者の状況や状態に合わせた継続的な価値を生み出し、その価値に気づいてもらえる仕掛けを考え、常にそれらを伝えつづけるデジタルチャネルの構築をするといった、「アフターケア」の役割となるカスタマーサクセスに注力する必要があります。
カスタマーサクセスのメリットとデメリット
カスタマーサクセスのメリット
カスタマーサクセスのメリットは下記になります。
- 自社の製品やサービスの離反や解約の防止
- 既存顧客へのアップセル・クロスセルによる売上増加
- 顧客のライフタイムバリュー(LTV)増加による企業への信頼度アップ
カスタマサクセスのデメリット
カスタマーサクセスのデメリットは下記になります。
- 顧客同士がポジティブに情報共有する安全なコミュニティが必要になる
- 顧客の要望をフィードバックできる体制に時間がかかる
- 運用に時間や人員が必要となり、少ない規模の企業は導入が難しい
カスタマーサポートとカスタマーサクセスの違い
カスタマーサクセスと混同されやすい言葉に、「カスタマーサポート」があります。
カスタマー“サクセス”とカスタマー“サポート”の大きな違いは、顧客の課題を解決する姿勢です。
カスタマーサクセスが顧客の抱える課題に対して事前に想定を行い、先回りをして問題が起きないようにするのに継続的にサポートするのに対し、カスタマーサポートは、顧客が課題を感じ、その課題が提示されたタイミングで迅速に対応し解決します。
両者の役割を表に整理すると、以下のようになります。
カスタマーサクセス | カスタマーサポート | |
---|---|---|
役割 |
顧客の成功体験の実現 |
顧客の課題解決、 クレーム対応 |
顧客に働きかける 姿勢 |
能動的、先回り |
受動的、 要望に応じて |
目指すべき指標 | 顧客の成功 |
効率的な解決 |
求められるスキル | 顧客すら気づいていない潜在的なニーズをつかめるスキル |
顧客の問い合わせに対して、迅速かつ 的確に対応できるスキル |
組織の立ち位置 | 各部署と密にコミュニケーションを取りながら、 全社を挙げて顧客の成功に向かわせる |
自部署内で顧客のサポートを 完結させる |
顧客との関わり方 | 継続的 |
単発的 |
この表を見てわかるように、カスタマーサクセスとカスタマーサポートはそれぞれ役割が異なります。よって、片方のみに力を入れるのではなく、両者のバランスをとった体制づくりが大切です。
カスタマーサクセスにおけるお客様とのタッチモデルとは
カスタマーサクセスでは、おもに以下3つのタッチモデルがあります。
- テックタッチ
- ロータッチ
- ハイタッチ
タッチモデルは、自社がお客様に対してどのように接するかの類型を示したものです。
それぞれどのような接し方であるのかについてご紹介いたします。
テックタッチ
テックタッチは、お客様と個別の会話をせず、コミュニティやセミナー、一斉メッセージなどの手段でフォローしていく接し方です。
通常、LTVが低い(下位・標準プラン)お客様層に対しては、テックタッチで接します。
多くのお客様に対してテックタッチで接することになり、内容が充実していれば、お客様の「セルフオンボーディング」が可能です。
ロータッチ
ロータッチは、1人のカスタマーサクセス担当者が複数人のお客様を担当する接し方です。
担当者がお客様と常時併走するわけではなく、必要なタイミングだけ接触する点がポイントとなります。
ハイタッチ
ハイタッチは、1人のお客様に対して1人の担当者(専属担当者)を付け、電話や対面セッションなどの手厚いフォロー(併走)を行う接し方です。
サービス提供初期や、富裕層向けなど比較的単価の高いサービスでは、ハイタッチによるカスタマーサクセスが行われます。
企業のカスタマーサクセス運用事例
それでは、企業のカスタマーサクセス事例を10選紹介いたします。
カスタマーサクセスの基本概念である「顧客の成功」がゴールであることは各社共通しているものの、考え方や姿勢、取り組み方には違いが見られます。
ぜひ自社にとって参考にできる部分を見つけつつ、実践に移すための参考としてください。
カスタマーサクセスの成功事例 Apple
新製品の発売前などは、長蛇の行列がテレビで報じられる「Apple Store」。
スティーブ・ジョブズは当初から、ただ製品を店頭に並べて優秀な販売員を設置するだけでは、ファンを獲得するのが難しいと考えていたそうです。
そこでジョブズは、店舗の奥にスペースを作り、カスタマーサクセスマネージャー(ジーニアス)を設置しました。
カスタマーサクセスマネージャーの役割は「顧客が自社製品の価値を最大限に引き出せるように手助けする」こと。
今では「Genius Bar(ジーニアスバー)」として、何かしらのトラブルを抱えた製品を持ち込めば、その場で相談に乗ってくれるのはもちろん、マシンを検証したり必要に応じて修理や交換まで行ったりします。
つまり、iPhoneやMacを買ったらそこで顧客との関係が終わるわけではなく、購入後も継続的にサポートを行うのです。
SmartHRのカスタマーサクセス事例
SmartHRは、労務管理クラウドシステムです。
当初は「カスタマーサクセスとは何か」から勉強を初め、まずはチャットサポートとオフラインでのサポートを実施していました。
事業拡大につれて導入支援チームとチャットサポートチームの2つに分業し、現在では以下5つに分けています。
- オンボーディング
- エンタープライズCSM(従業員規模数千名)
- SMBCSM(従業員規模数百名まで)
- テックタッチ
- オペレーション
さまざまな仮説検証を繰り返しながら体制変化を経た結果、SmartHRの継続利用率は99.5%となりました。
Slackのカスタマーサクセス事例
Slackは、ビジネス用のメッセージングアプリです。
Slackのカスタマーサクセスへの考え方は、「Slackでお客様の業務が改善するかどうか」をポイントとして捉えています。
Slack全社においてカスタマーサクセスは中心的な役割を担っており、さまざまなカスタマーサクセス施策を取り入れているのが特徴的です。
lack全社においてカスタマーサクセスは中心的な役割を担っており、さまざまなカスタマーサクセス施策を取り入れているのが特徴的です。
- 成功事例を集約しイベント時に共有
- データ分析やAI活用を通じてお客様の状況を把握
- お客様との積極的な対面ミーティングで、お客様の期待と製品のギャップを確認
- インラタクティブなオンライントレーニングを実施(日本独自)
- お客様からのコメントや声を積極的に全社へフィードバック
また、Slackではお客様への価値提供を評価する軸として、以下3つを掲げています。
- 導入(アダプション)
- 成熟度(マチュリティ)
- 感情(センチメント)
つまり、お客様が使いこなせるだけでなく、お客様の感情(センチメント)も重視しているのです。
「お客様からのコメントや声は、全社に向けられたメッセージであると捉えるべき」との認識も参考になります。
カスタマーサクセス成功のポイント
適切なKPIを設定する
カスタマーサクセスの活動を明確にするために適切なKPIを設定しましょう。カスタマーサクセスの代表的なKPIには解約率や継続率などがあります。
それだけに止まらず、顧客の成功からKPIを逆算して設定することが重要です。頻繁に利用するものなら利用頻度、業務ツールならデータダウンロード回数というように、顧客が成功するために必要な行動をKPIに設定します。
顧客は何もしなければ離れることを認識する
一度契約を獲得しても、そのまま放っておいてしまえば、競合企業へ流れて行ってしまいます。
企業が成長するためには、常に差別化をはかるための企業努力が求められるのです。また、一定のタイミングで顧客と接点を持つことも重要です。
絶えずカスタマーヘルスを把握・管理する
カスタマーサクセスの指標の一つに、「ヘルススコア」というものがあります。顧客のサービスを利用したユーザーがサービスを使い続けてくれるかを数値化するものです。
その数値を常に把握しておくことで、解約を防ぐ、サービスへの定着率を増やすなどの対策をすることができます。
顧客の声を社内にフィードバック
カスタマーサクセス部門は顧客と一番近い場所で接しています。顧客を観察して気づいたことや顧客の要望を課題として開発担当へフィードバックすることが重要です。
顧客の声を適切に取り入れることでプロダクトの改善、事業の成長へと繋がります。ただし、顧客の要望を全て聞き入れるのではなく、プロダクト改善に取り入れるかどうかを顧客の成功から判断して精査する必要はあります。
まとめ
今回は下記の内容で解説しました。
- カスタマーサクセスとは
- カスタマーサポート とカスタマーサクセスの違い
- カスタマーサクセスにおけるお客様とのタッチモデルとは
- 企業のカスタマーサクセス運用事例
- カスタマーサクセス成功のポイント
カスタマーサクセスの取り組みは、SaaSなどのサブスクリプションモデルには不可欠です。個人向けか企業向けかを問わず取り入れられています。
本記事で紹介した内容が皆様のカスタマーサクセス導入の参考になりますと幸いです。
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